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2005年07月10日

なんかドン・キホーテな感じ

ええと、実は試合前、TO*SCAを配りながら「今日もきっと0−0くらいで引き分けだろうな…」なんて事をスタッフの面々と話していた。
で。案の定そういう結果になってしまったわけで。だからというわけではないけど、僕は引分けの結果にも大してショックではなかった。むしろ降りしきる雨の中、運搬道具を持って帰ることの方が憂鬱だったし。

さて、思った事は多々あれど、今の東京の象徴的なシーンとして印象に残った事が1つ。

後半も終盤に差し掛かったあの時。
0−0の状態でそれまでチャンスというチャンスはほとんど作りだせていなかった東京。戸川の退場によってヴェルディの守りへの姿勢が強くなったことで、ほとんど効果的な攻撃は出来なかったのは周知のとおり。

パスを回しても中途半端。
シュートまでも持っていけない。
フリーになった選手を活かしきれない。

まあ単純に言えば悪循環になっちゃってたわけね。
しかもあの時間、芝に水たまりが浮くくらい地面は水を含んでいて、早く正確なグラウンダーのパスなど困難だということは、雨の日にサッカーボールを蹴ったことの無い人だって分るはずだ。

それでも東京は攻め方を変えず自分達の攻撃を貫いた。
その日、コンビネーションからサイドをついて崩して決定的なシーンを作るなんて殆どなかったにも関わらず、一貫してショートパスとドリブルでサイドの攻略を考えていた。

僕はここで「うーむ…」と思う。
もし今日の試合で何度も何度もサイドからヴェルディの守備体形を崩し、あとはシュートさえ…っていう展開だったならば同じ攻撃の方法を貫くのもいいと思う。
もしくは、プレシーズンマッチや予選敗退が決まったナビスコ杯予選の消化試合などでリーグにむけての対策や実験として「結果よりも攻め方」にこだわるのはありだと思う。

でも僕たちはもうかれこれ3ヶ月も勝っていないチームなわけで。
とにかく勝つ為の工夫、最大限に知恵を絞ることはけして間違った事じゃないと思う。

ジャーンを上げて彼をターゲットにし
(彼のヘディングの強さはヴェルディDFを凌駕する事くらい僕らじゃなくても分かってたはず)
そこにロングボールを入れ
(雨のピッチで足下へのパスで相手を崩せるほど東京の皆が器用じゃない事くらい僕らは知っている)
ジャーンがせった後、全員で持ち前の根性をむき出しにしてこぼれ球を拾いシュートに結び付ける。
(戸田や石川の瞬発力、今野の根性の凄さを僕たちは何度も見てきた)

試合残り10分、いや、5分でもいい。
そういう勝つ為の常套手段を何故取らなかったのか?
遮二無二に。ガムシャラに。ゴールにボールを入れたいんだという気迫。
それが見られなかった事が僕は少し残念だった。

ベンチやピッチの皆にしてみれば、残り5分のパワープレーで勝ち点3をとる事に比べたら「見てて面白い攻撃サッカー」という自分達のプレースタイルを守る方がきっと大事だったのだろうけど。
でもね。
やっぱり僕は勝てない現実よりも、愛する彼らがドン・キホーテのようなサッカーをするのを見る事の方が胸が痛い。

いい加減、虚像から解き放たれて、魂を揺さぶるあの“東京らしさ”を追い求めて欲しいな。
そんな事を思って今日は家路についた。
雨のあとの夜風が妙に肌寒い夜だったよ。


【下山けんと】

投稿者 tosca-web : 2005年07月10日 01:49

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